対談:MCRアナリティクス設立の経緯(前編)

これからの時代のインフラ人財を育成し、
データ分析の裾野を広げていく。

MCRアナリティクスは、プロフェッショナル・エージェンシーのクリーク・アンド・リバー社と、データ分析のプロフェッショナル集団、澪標アナリティクスの合弁会社として立ち上がりました。
創業の背景について、両社代表の対談形式でお届けします。

株式会社クリーク・アンド・リバー社
代表取締役社長 井川幸広
1960年生まれ。佐賀県出身。毎日映画社にて1年間勤務した後、独立。
文化映画やテレビのドキュメンタリー番組などの監督・ディレクターとして活躍。
企業のマーケティングのコンサルティングなどを経て、1990年3月、クリエイター・エージェンシー 株式会社クリーク・アンド・リバー社を設立。2000年NASDAQ JAPAN(現JASADAQ)上場、2016年東証一部。
現在では、クリエイティブだけでなく、医療・IT・法曹・会計・建築・ファッション・研究科学者・食分野の22万人以上のプロフェッショナルと2万社のクライアントを無限に組み合わせ、社会に新たな価値を創造するビジネスプロデュース事業を展開している。

澪標アナリティクス株式会社
代表取締役 井原 渉
1984年生まれ。大阪府出身。大学在学中に外資系コンサルティング会社の日本法人を設立したのを皮切りに、老舗中堅ゲーム会社や東証1部上場企業など、様々な企業にてデータ分析に関わるプロジェクトに参画し、各種サービスのデータ分析、分析基盤及び体制構築、新規事業立ち上げなどを担当する。
同時に、研究者として大学の研究センターにおいてもアクセスログに関するデータマイニングの応用論を研究。
澪標アナリティクス株式会社を設立した後も、大手自動車メーカーをはじめ幅広い業種にて分析コンサルティングや分析基盤構築、分析組織構築、レコメンドシステム、AI開発を行う。
また、現在も研究者として、国立九州工業大学非常勤講師としてデータマイニング応用論と流体シミュレーションを研究している。

――お二人が初めてお会いした2016年の6月頃、クリーク・アンド・リバー社ではどのような課題感をお持ちだったのでしょうか

井川)クリエイティブの仕事を、感性ではなく数字で提案できるようにしたいと考えていました。クリーク・アンド・リバー社はクリエイターのエージェンシーとして、テレビ番組だけでなく、ウェブサイトの制作やプロモーションの提案などにも注力しています。その時に大切なのは、「クライアントにどれだけの価値を提供できたか」ということ。それはちゃんと数値化しなければならないと思っていました。

エンターテイメントや広告業界には、「とにかく話題になればいい」みたいな空気が一部に慣習的に残っていて、どれだけの効果があるかが明確に数値化されていなかった。しかし、データを分析して、価値を数値化しないと、お客様に本当の利益を提供できないと感じていました。

私自身、自分でテレビ番組を創っていた時から、視聴率を分析しないとダメだと思っていました。周囲も、新しい番組を作る時に「あれがウケたのだろう」と感覚的にしか捉えていなかったんですよね。でも、実際は何かの傾向があるはずなんです。

ただ、既存のデータを分析して活用するのはとても難しい。データを分析するグループ会社もありますが、領域が少し違います。そこでやっていたのは、新規顧客を獲得するために市場データを用いる未来予測的なマーケティング手法でした。それも重要ですが、それ以上に、既存顧客の動きや満足度を分析して、購買頻度と購買金額を上げるためのデータ分析を求めていたのです。未来予測と現状分析は全く違うもので、できる方法がないか、ずっと頭の中では意識していました。

その時に、知人の紹介で井原さんを紹介されました。会った瞬間にビビッときましたね。学生の時から大手メーカーの分析をやって、個人でやるのはもったいないからといって会社を立ち上げたと聞いて。単純に、この頭の良い人と一緒に仕事をしたら、何かを実現できそうだという直感もありました。


株式会社クリーク・アンド・リバー社 代表取締役社長 井川幸広

――長年の課題に、最適な解決策を持った人が現れたということですね。井原さんにとって、井川さんとの出会いはどのような意味があったのでしょうか

井原)お会いする前は、「とてもすごい経営者の方がいるから会ってみないか」と知人に言われていました。私はデータを分析してビジネスに繋げる澪標アナリティクスを経営していますが、研究開発に近いベンチャー企業なんですよね。人をたくさん採用して、仕事をたくさんこなすというよりも、少ないお客様に対して本当に難しい課題を解決していくというスタンスでした。

だけど、大きな市場に目を向けていないと、会社はなかなか成長しません。知名度もないので、大手と取引する時に与信が通らなかったり、優秀な人材を採用しようとした時に「この会社大丈夫ですか」と求職者の親御さんに心配されたり。かといって、他の人でもできるような仕事をしたいわけでもなくて、会社をどう経営したらいいのか悩んでいたところでした。それで、井川さんから少しでもヒントがもらえればと思いましたね。

初めてお会いした井川さんは、いい意味で「上場企業の社長さんっぽくないな」と感じました。勝手な印象ですが、大きな会社の方は「ベンチャー企業を利用してやる」みたいな思惑があると思っていたのですが、井川さんからはそういった感じは全くありませんでした。むしろ、技術畑の人の気持をちゃんと理解してくれる人だと感じました。

初めて会った日に印象的だったことがあって。「会社を大きくしたいのか」と言われて「大きくなるならしたいです」と言ったんですけど、「でも、大きくして一般的なデータ分析ばかりしたら飽きないか」と言われたんです。その時、飽きてしまうと思ったんです。でも、井川さんは飽きたらダメだというわけではなくて、飽きるのはしょうがないよねっていう話をしてくれて。この人は、自分を分かってくれると感じたんです。

井川)井原さんの話を聞いていると、会社というよりも高度な研究機関を経営しているようなイメージを抱きました。だから、最初に会社をどうしていきたいかを聞きました。私もテレビのディレクターをやっていた時、独自の映画を作りたいとか、自分の制作会社を作りたいとかいう夢があったので、それに近いような感じだとすぐに分かりました。会社を大きくするよりも、自分が追い求めるテーマと真剣に向き合っていく人なんだって。

ただし、仕事のクオリティと、経済価値は、必ずしも一致しません。澪標アナリティクスでやっていることは、ものすごく高度ですが、多くの企業はそこまでのものは求めていない。であれば、澪標アナリティクスではものすごく尖った仕事だけを続けて、そのブランドを軸に、より多くの人が必要としているレベルのデータ分析を、新しい会社でやればいいんじゃないかと考えました。そうすれば、井原さんのやりたいことを実現しつつ、経済価値もしっかりと追いついてくると考えたのです。

井原)まさに、世の中の多くの方から求められるものと、研究上価値があるものは違うと考えていたので、井川さんのお話に強く共感しました。それで、一緒に会社を作ることに決めました。


澪標アナリティクス株式会社 代表取締役 井原 渉

――双方のニーズが合致しての新会社立ち上げだったわけですね。会社のミッションの中に人財育成の観点が強く押し出されているかと思いますが、どのような想いがあるのでしょうか

井原)現在、アナリスト業界の大きな課題は人財不足です。特に、市場とのミスマッチがすごく大きいんです。多くの企業が、ものすごく優秀なデータアナリストを求めるのですが、実際にはお客様が求めていることを実現するのに、そこまでの人財は必要ではありません。私たちが教育できるレベルの人で、お客様に十分価値を提供できる。そのミスマッチをなくしたいと考えています。

私たちは、澪標アナリティクスの経験から教育ができる。一方で、クリーク・アンド・リバー社は、採用に強みがあります。二社の強みを組み合わせることで、データアナリストを大量に育成できると考えているので、MCRアナリティクスでは人財育成を大きく掲げています。

井川)MCRアナリティクスは、データ分析の裾野を広げる役割があると考えています。ただ、そこまで高度なデータ分析をしないといっても、裏側には澪標アナリティクスがこれまでの経験から積み上げた、高度なフレームワークが存在します。フレームワークとしっかりと指導する人がいれば、データ分析の経験が浅い人や未経験者でも分析業務に携わることができます。そこで、現場の数字をしっかりとみて、お客様のビジネスを成長させるための運用に関わることで、どんどん成長していくと考えて
います。

井原)一般的なソフトウェア販売との違いは、導入して終わりではないこと。日々の運用が発生するので、常に人が関わり続ける。そうすると、現場の中から企業の課題が分かってきます。その解決手法を考えて、実践していく。その繰り返しの中で、人財が育つと思います。

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