活躍する理系女性インタビュー:水沼 未雅さん(1/3)

苦手な研究の中で見つけた、「仮説思考」のパラダイムシフト

女性データアナリストが活躍する環境を目指すMCRアナリティクス。「理系女性の強みを活かした働き方」というテーマのもと、外資系医薬品メーカーを経て戦略コンサルで活躍する水沼さんに、代表星野がお話を伺いました。第一回目は、学生時代、水沼さんが苦手意識をもっていた研究で大きな成果を残すきっかけとなった、パラダイムシフトについて伺います。データ分析でも非常に重要な要素となる「仮説思考」に至った背景とは何だったのでしょうか。

水沼 未雅(みずぬま みか)
1986年兵庫県生まれ。京都大学薬学部を卒業後、東京大学薬学系研究科で神経科学を研究。博士号取得後、欧州系製薬会社を経て、米系戦略コンサルティングファームに入社。ヘルスケア業界をはじめ多岐にわたる業界で、新規事業戦略、全社改革、製品戦略等さまざまなプロジェクトに従事。

星野 康行(ほしの やすゆき)
株式会社MCRアナリティクス 代表取締役

星野)水沼さんは、薬学の分野で博士号を取られてから民間企業に就職されたんですね。

水沼)はい。もともと薬剤師を目指して大学に進学して、学部では分子生物学という、分子が体内でどうはたらくのかを解明する研究をしてました。研究を通じて人の健康に貢献できるということはもちろん、人の身体の仕組みを知れることが面白かったですね。

その後、次第に研究者に憧れるようになり、大学院に進学し、神経科学という、脳のはたらきを解明する研究に取り組みました。

星野)研究への関心の背景には探究心があったんですね。

水沼)そうなんです。ただ、実は私、修士に入ってすぐ「研究が苦手だな」って気づいてしまったんです。本当に何をやっても上手くいかなくて、必死にデータをかき集めるんですけど、どんな風に分析してもネガティブなデータになってしまうんです。

ひたすら実験をして、夜中まで起きて頑張って、それでも成果が出ない。修士の2年間は本当にそんな状況で、科学の恐ろしさを知ったというか、「私、これ全然向いてないな」って思ってしまいました。

修士は1年目にすぐ就職活動が始まるので、それまでに見切りをつけられず、気がついたら博士に行く流れになっていました。「私、才能ないのに博士行くんだ。」ってちょっと絶望していましたね。何が悪いのかもわからず、暖簾に腕押し状態でした。

星野)そうだったんですね。博士課程では苦手を克服したんですか?

水沼)はい、留学中のある出会いで考え方が大きく変わったんです。

博士一年生の時、逃げるようにボストンに留学しました。この暗い研究室から抜け出したいという一心でした。現地では全く違う分野の研究に携わったんですが、そこで私の研究アプローチそのものが間違っていることに気づかされたんです。

それまでの私は、仮説も無く大量にデータを取ってきて、それを調理したら何かしら結果が出るだろうと考えていました。適当に穴を掘ったら何か宝が出てくるだろうみたいな、そんな考え方だったんです。

そんな私の研究方法を見て、留学先の教授から、「全く逆だ」と言われたんです。「あなたは根本的に間違っている」って。彼曰く、論文を100本くらい読んだら答えは見える。自分にとって大事な問題を設定し、答えが見えたら、あとはその答えをどう証明するか計画し、その通りにやっていくだけだ、と。

当たり前のことなんですけど、まずゴールを設定する。そして、しっかりした仮説を立てて、その仮説を証明するルートを最短距離で進めと教えられました。

それまで、うちの研究室は、新しい技術や難しい方法を使うことがエレガントでお洒落だよね、というような雰囲気があったんです。目的よりも手段に偏重していたんですね。何か明確に解きたいことがあるわけでなく、「こういうことをしたらちょっと変わるんじゃない」という感覚で研究をしていました。その出会いで、考え方が180度変わりましたね。

結局、ボストンにいる間にその先生の研究で『Nature』という権威のある雑誌にのるような仕事も目の前でみせてもらい、 素晴らしい研究とはどんなものか、垣間見ることができました。

日本に帰ってからは研究の成果が圧倒的に変わりました。本当に開眼したような感覚ですね。すごいブレイクスルーで、今までの人生の中で、一番短時間で自分が大きく変わった経験でした。

星野)留学前と後では何が一番変わりましたか?

水沼)なにより、研究が面白くなりましたね。自分がこうなるはずだと思ってやったことが、その通りになると気持ちいいんですね。世界の誰も知らなかったことを、自分がやってみて、「やっぱりそうだ!」って。データが綺麗に出ると、「やっぱり生き物って美しいな」って思うし、「これは私しか知らない」みたいなわくわく感があるんです。

結果的に研究が先述の『Nature』の姉妹誌に載ったり、大学の総長賞をいただくことができたのも嬉しかったですね。

星野)そのあたりはデータ分析の仕事とかなり通じる部分があると思います。仮説と結果の一致っていうのは、一番気持ち良いですよね。

水沼)そうなんです。解くべき問題を決めるのが一番難しくて、それが決まったら仕事はほぼ終わったようなものなんですよね。

<第二回につづく>

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